「Rのつく月には気をつけよう」石持浅海 祥伝社文庫
Rのつく月に気をつけつつなおかつ美味しいもの・・・これってそう、牡蠣の事ですね。表紙から察するとお酒も凝ってるのかな?
何だか美味しそうな匂いがぷんぷんする小説です。
裏表紙には「ミステリーファン注目の著者が贈る傑作グルメ・ミステリー!」と書いてある。私の好きなグルメ・ミステリー。絶対に美味しいお話に違いない。
「Rのつく月には気をつけよう」あらすじ
「悪魔から頭脳を買った男」長江高明、「負けず嫌いな女」熊井渚、「酒豪の女」湯浅夏美。3人は大学時代からの飲み仲間。機会があれば長江の家に集まって飲んでいるが、いつも同じメンバーでは進歩がないので、誰かが友達をゲストとして連れてくるようになり、そのゲストがネタ元になって飲み食いしながらゲストにまつわる謎を解いていくという短編集。
毎回お酒と肴の組み合わせが秀逸。ほっこり系のミステリー作品です。
「Rのつく月には気をつけよう」感想
会話のみで、その場所にいない人の心理を推察してしまうのが「悪魔から頭脳を買った男」と異名を持つ長江。ちょっと無理強いなところもあるけれど、最終的に納得できる内容に持っていっているところが作者の凄さなのかしら。
ちょっとしたミステリー的要素も興味深かったけれど、毎回登場する料理とお酒の組み合わせに正直そそられました。
第1話が牡蠣とウイスキーの組み合わせ。
ウイスキーはボウモアの12年物という、とことん料理とのバランスを考えて選んでいることが凄い!!
第2話はチキンラーメンそのままとビール、第3話はチーズフォンデュとオレゴンの白ワイン、シャルドネ・・・という具合に徹底して考えられたマリアージュに興味が湧きます。
ただ、すっごくくだらない事だけど、気になったのは料理が1種のみということ。
「肴はあぶったイカでい~~い~~」♪なんて歌があったけど、それは一人飲みの時。仲間と一緒で牡蠣とウイスキーだけで飲んでいられます?
第5話でのぎんなんと静岡の日本酒の組み合わせ。これ自体は合うと思うけどぎんなんは食べ過ぎてはいけないものだし、ぎんなんだけでお腹満たされますぅ?
最近の飲み会ってこういうもの?
いや、まあ、あくまでも肴とお酒、そして3人+ゲストとの会話が小説の鍵となるわけだから、あえての肴一品とお酒が小説の上では正解なのだとは理解はするけれど、テーブルに何品かないと寂しさを感じる私としてはすっごく気になってしまいました。
小説の内容とは関係ないけどね。そんな事を考えつつも楽しく読めて、お酒好きにはたまらない小説です。
本の中の美味しい料理
第4話では豚の角煮と泡盛、第6話はそば粉のパンケーキとポールジローというブランデー、第7話はシャンパーニュとスモークサーモンの組み合わせ。
第1話の牡蠣とウイスキーの組み合わせも気になるところでしたが、どうなんだろうと思ったのが第6話のそば粉のパンケーキとブランデー。
軽く掲げたグラスを口に持っていった。香りは思ったよりドライだ。でも刺すようなアルコール臭はない。口に含む。ふわりと甘いフルーツ感が広がる。それでもさすがアルコール度数四十度。熱い刺激と共に喉を滑り降りていった。
その熱が喉から消えないうちに、そば粉のパンケーキをかじる。端っこはバターでカリカリに焼けていた。さくりと音をたてて噛む。そば粉の素朴な味と、ジューシィなバターのコクが絶妙にマッチしている。またブランデーを口に含む。
「ほほお」
そんな言葉が口をついて出た。まるでパンケーキに蜂蜜をかけたような芳香が、口いっぱいに広がった。バターのしつこさが、花の香りの重たい部分を抑え込んで、華やかな部分だけを強調している。
「Rのつく月には気をつけよう」より引用
ふーむ。パンケーキとブランデー・・・???
どうなんでしょうね。ほんとに合うのかな?
これは試してみなくては。
そば粉のパンケーキ レシピ
材料(約3枚分)
そば粉 100g
塩 ひとつまみ
ベーキングパウダー 5g
グラニュー糖 大匙1
卵 1個
牛乳 100g
溶かしバター 10g
1.ボウルにそば粉とベーキングパウダー、塩、グラニュー糖をホイッパーで混ぜ合わせておく。溶いた卵、牛乳、溶かしバターを加え混ぜる。
2.温めたフライパンに小匙1程度のバター(分量外)を溶かし、一旦濡れ布巾にフライパンをのせて温度調節してから①の生地をお玉1杯程度入れて、ふつふつ穴があいてきたらひっくり返し両面焼いて器に取り出す。
3.温かいうちにバターをのせる。
基本メープルシロップか蜂蜜をかけるのですが、小説の中ではシロップをかけている記載がなかったので、本来砂糖は必要ないのですが、大匙1生地に加えてみました。
バターがポイントのようなので、生地にも焼く油にもバターを使用。
出来上がったパンケーキにバターを溶かしつつ、いざブランデーと共に・・・・
ブランデーはさすがに普段は飲まないのでお菓子用に使っているVOで代用。
う~~ん、正直よくわからない。
生地自体甘みが少ないのでその甘味を本来ならボールジローというブランデーが補うのかな?
VOにそこまでの力がないせいか、やはりシロップかもしくはベーコンやスモークサーモンなどと合わせてみたいというのが本音。
でもそば粉のパンケーキとブランデーがいくら相性が良くてもやっぱりこれだけでは盛り上がりに欠けないのかしらねぇ・・・・なんて。
ちなみに、そば粉のガレットも以前作っていますのでこちらからどうぞ
まとめ
そば粉のパンケーキとブランデーの組み合わせは「ボールジロー」でなかったせいか、ちょっとイマイチでしたが、それ以外はテッパンですよね。
あっ、牡蠣とウイスキーも気になりますね。指定は「ボウモアの12年物」ということなのですが、まずは安いウイスキーで試してみたいものです。
ちなみにお酒のセレクトは「負けず嫌いな女」熊井渚の担当。
この3人の関係、最後になるほどと思いましたが、こちらも読んでいて気になるところ・・・なのです。
続篇も出版されているのでまた美味しいマリアージュ期待出来そうですね。
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